三月、四月にスーパーなどに行くとカラフルな卵形のお菓子などが飾られたイースターコーナーを見かけることがあります。
イースターはヨーロッパやアメリカではメジャーなイベントです。意外かもしれませんが、クリスマスよりも大切な時として過ごされます。キリスト教のイベントというだけではなく、春、命を大切にする時だからです。

☆ イースターってなに?

イースターは日本語では「復活祭」と書きます。これはキリスト教で十字架にかけられて亡くなったキリストが、その三日目に復活したことを祝うからです。とはいえ、イースターの起源はキリストの復活のお祝いではなく、土着信仰などで行われていたお祭りが起源ともいわれています。
実際、イースターの語源はゲルマン神話に登場する春の女神、エオストレの名前に由来するといわれています。かつてゲルマン人は、春の名月をエオストレモナトと名づけ、春の到来を祝ってお祭りを開催していました。イースターの行われるタイミングが、エオストレモナトのお祭りの時期と重なることから、両者が次第に融合し、春の到来も一緒に祝う行事になった説があります。
キリストの復活は新しい命を、春は花が咲く様子からも命の芽生えを感じさせます。いずれにせよ、春の喜びのお祭りです。

☆ イースターの時期は?

クリスマスは12月25日、ハロウィンは毎年10月31日と決まっていますが、イースターは日にちが定まっていません。
イースターは、春分の日の後にやってくる、次の満月から数えて、最初の日曜日に祝うと定められています。
そのため、3月22日から4月25日の間に祝われます。
北海道などでは年によっては牧師が「イースターは春のお祭りです」と話して窓の外を見ると、雪が降っているなんてことも。
世界ではイースター休暇がある国も多く、日曜日のイースター当日を挟んだ金曜日から月曜日の四日間が多いようです。

☆ イースターの象徴①〜うさぎ

日本でも、春になるとお店で可愛らしい卵型の飾りや、うさぎの置き物を見かけることがあります。クリスマスツリーがクリスマスのシンボル、かぼちゃがハロウィンのシンボルであるように、イースターにもシンボルがあり、それが「イースターエッグ」と「イースターバニー」です。

イースターバニーはうさぎです。
イースターバニーは子供たちにイースターエッグを運ぶ役割があるとされています。お菓子やおもちゃのプレゼントを持って来ることもあります。

例えばアメリカでは、子どもたちはイースター前にバスケットを用意し、前日に玄関先に置いておきます。すると夜の間にイースターバニーがやってきて、イースターエッグと一緒にお菓子やおもちゃを入れてくれるのだそうです(まるでサンタクロース)。欧米では、イースターバニーをかたどったチョコレートやパンなどを食べるのも一般的です。

なぜうさぎがイースターの象徴、イースターエッグを運ぶといわれるようになったかは、一般的には、繁殖力が強いうさぎはキリスト教においても「生命力」や「繁栄」の象徴なので復活祭のモチーフになったといわれています。
また、うさぎの巣は土の中に掘られた巣穴といわれています。そこから顔を出したり、ピョコンと跳びだしてくる様子は愛らしさがあります。キリストが亡くなった当時のユダヤの墓は洞穴であり、そこに石を転がして蓋にしました。復活したキリストはそこから出て行った(弟子たちはその墓である洞穴にキリストを探しに来た)ことから巣穴から出ていくうさぎとキリストの姿を重ねたという意味もあるのでしょう。

☆ イースターの象徴②〜たまご

イースターでは、殻に色づけや装飾をほどこした、「イースターエッグ」と呼ばれるゆでたまごを飾ったり、交換したりする習慣があります。
キリストの血の色を表現して、赤一色に染めたもの、細かい模様が描かれたものなど、国や地域によって、デザインは様々です。

ゲルマン神話に登場する女神エオストレが従えていた野うさぎたちが、春色に塗り分けたカラフルなたまごをエオストレに贈り、喜んだ女神が、春風と一緒にそのたまごをみんなに届けたという神話がイースターエッグの由来という節があります。

けれども、それ以上に鳥がたまごの殻を破って出てくる様子が、よみがえりや復活をイメージすること、また卵の殻を割ることが「墓を開くこと」に例えられることから、たまごはキリストの復活を祝うイースターの象徴とされています。
死という空を破ったキリスト、固い殻を破って生まれる。それもまた新しい命の象徴です。

もう一つは現実的な問題ですが、卵が完全食として栄養価が非常に高いものです。
キリスト教ではイースターまでの四十日間を節制の時期として卵や肉などを控えて生活する習慣もありました。そのため、イースターには栄養価の高い卵が出されたこと、また日本にキリスト教が拡がった頃は日本がまだ貧しい時代でしたので、卵がご馳走であった。そんな理由もイースターエッグにはあります。

☆ イースターの象徴③〜ユリ

イースターは春のお祭り、命の時ですから、春の花が大切にされます。
テッポウユリ(イースターリリー)や水仙、ヒヤシンス、チューリップ、カーネーション、キンポウゲ、桃の花などが飾られます。

特にイースターリリーはその白さから「純白、復活」とされ、イースターを象徴する花となっています。ラッパのような花の形はキリストを呼ぶ神様のトランペットを象徴するともいわれています。

イースターリリーと呼ばれるテッポウユリは、十九世紀にシーボルトが日本から持ち帰り、欧米に広まったといわれています。
それまでは純白のマドンナリリーと呼ばれる品種が、母マリアの純白の象徴としてキリスト教の聖花として使われていました。
十九世紀にテッポウユリが伝来すると圧倒的な人気を得て、マドンナリリーに代わって現在では多くの教会で聖花として飾られています。

☆ イースターを楽しもう!

春を楽しむという目的でほんのひと工夫でイースターは楽しめます。
例えば、

  • イースターエッグを作ってみよう。
    最近は簡単に作れるイースターエッグ用のラップフィルムなども売っています。ゆで卵をオタマにのせて熱湯につけるだけ。一緒に作っても楽しいですし、カラフルな卵を見るだけでも楽しいものです。
  • エッグハントをしてみよう。
    イースターといえばエッグハントとも言われます。キリストを弟子たちが探したことを覚えて、あらかじめ隠しておいたイースターエッグを探します。子どもと一緒でも楽しいです。
  • 春の花を植えてみよう。
    春は命が生まれ出る季節。特に球根から花が生まれる様子は、まさに生命のたまごのようで、イースターの由来にもぴったりです。イースターのこの季節、一緒に球根を植え、その成長を楽しみましょう。

ぜひ、この機会にイースター、命に触れ、春のお祭りを楽しんでみてください。

ルーテル教会牧師 加納 寛之


#2025年春号